昭和8年9月15日に、浅草寺善竜院より観音像が岩井堂に奉遷されるという出来事があり、 翌日の東京日日新聞でそのことが報じられています。 (『浅草寺史談抄』に拠れば清水谷恭順大僧正はこのときはまだ善竜院の住職だったようです)

実態は浅草寺側から観音像を譲られた、ということだと思うのですが、 記事ではご本尊が1200年ぶりに帰ってきたというニュアンスになっています。 おそらく地元の受け止め方はそのようなものだったのでしょう。

千二百年振りに本尊様歸る

岩井顴音入佛式

千二百余年前飯能在入間郡南高麗村大字岩淵の成木川の断崖上に鎮座してゐた顴音像が 一夜の暴風雨に崖崩れと共に河中に落ち流れて隅田川浅草付近に上り こゝに金龍山浅草寺が開けたといふ由緒から今度浅草顴音の分身を 本家岩井堂に奉安十五日入佛式が擧行された

この日浅草顴音住持清水谷恭順師は正午池袋発電車にて 衆僧と共に飯能驛に到着自動車で約一里余の岩井堂顴音に至り 午後二時から莊厳な開眼入佛式を行ったが 何しろ千二百余年ぶりで本尊様が歸つて來たといふので 参詣者を引きもきらず終日大賑ひを呈した

戻る