地誌編担当調査員斎藤勝治
東吾野地区の林相
西川林業地帯の一画を担う東吾野地域は、美林地帯としても名を知られております。ほとんどが杉・桧などの用材林ですが、寒地や暖地の樹種のそれぞれの南限北限というのも地域の特性を知る上に大変重要なことと思われます。
ブナ峠といえば、飯能界隈では有名な峠である。昭和四十五年六月、私はここではじめてブナと対面した。
ブナは頂より西へはずれた所に三本あり、その一本は目通り二・六m、樹高十三m、枝張り十五mにも及び正に貰録十分。調べてみるとこれは大変貴重なものであることがわかった。
まず、飯能の周辺には見当たらないこと、また植生地はもっと寒い所とされ、北陸の標高数百m、関東や東海地方では、それが一千m以上である。ブナ峠は、ブナの育つことができるぎりぎりの所、即ちその南限と推定できたのである。地理的にみれば、峠の位置は北緯三十五度八十八分、標高七百七十五mである。
また、もう一つ貴重な木がこの峠から約四千m南、花桐の大山祇神社の境内で発見された。発見者は埼玉大学の永野巖教授。木の名はウラジロガシ。県の教育委員会では四十八年六月、永野・江森両文化財調査委貝により調査を行った。結果は総数十五本、大きいのは目通り三・六m、樹高二十m、樹令三百年から五百年と推定されたのであった。
では、なぜこのウラジロガシが貴重なのであろうか。もともとこの木は温暖の地を好み、伊豆半島から房総半島の海岸に限って分布しているが、それが吾野の山中に群生していたことは、ここがウラジロガシの北限と断じられるからである。ちなみにここは北緯三十五度七十八分、ブナ峠より十分南方に位し、標高は四百mである。
暖地を好むウラジロガシが、どうして吾野に植生しているのであろうか。おそらく太古はここも温暖の地であったこと、生き残った原因としては、高さ四百m附近に気温の逆転層があること、さらに神社境内で伐採が許されなかったことなどであろう。
このように、吾野の地はブナの南限、ウラジロガシの北限という貴重な位置を示している。
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