モリアオガエルは、元来南方系のカエルで珍しい産卵習性をもち、県内では昭和20年ごろ秩父両神山に生息することが認められましたが、その後姿を消しました。昭和43年に槻川上流の外秩父山中で樹上に付着している卵塊が発見されました。本市のものは、昭和35年ごろから生息しているもので、昭和42年ころより産卵範囲が拡大し、昭和45年には、20から30の卵塊か碓認され、その産卵の状況も観察されています。
この学術上価値の高い動物の生息地は、市街地を離れる西南西約12㌔㍍の地で、大仁田山(標高505・7㍍)通常三角点と呼ぶ山稜を背にして、東南に開ける標高300㍍から400㍍の山峡にある戸数約30戸の上直竹上分地区で、ほとんど毎戸に庭池、溜池等を備えています。
この地区は冬期、北風は山並みにさえぎられて比較的温暖で、なお夏期は涼しく、みかん、夏みかん、ゆず等の柑橘類の栽培も盛んで杉、檜等人工林の生育も極めて良好です。
なお、この集落より下流にある地域の野溜にも卵塊があり、生息が確認されています。