飯能百景 30

長光寺惣門

この長光寺は、大字下直竹の南高麗中学校の西測にあります。かつては、御朱印15石、末寺15か寺をもった名刹です。

貞治5年(1366)通海良義和尚の開創と伝えられ、寛永年岡に一の谷で手柄をたてた岡部六弥太の後孫の岡部小右衛門忠正が中興したものです。

惣門は、大門と言って寺域の表構えで三門、本堂と直線にならび禅宗伽藍であることがわかります。

門は本柱、控柱ともに円柱の四脚門で八角形踏石上に建ち、温雅な外観は山麓に映えるゆたかな禅刹によく調和し、古い木割で構成され、必要以上に材を太くした門構えの、それでいて威圧的ないやみがありません。桁行、梁門とも2・75㍍の小建築で、室町時代から桃山時代にかけての特徴をもつ県下における代表的な四脚門です。破風その他軒廻リに補修のあとがみられますが、軸部はよく旧規をたもち、唐様の組物を巻斗に組み込んだ手法、棟をうける大瓶束など重厚な屋根をうける繊細で、簡潔な軸部は気品があり室町時代の流れをくむ技法がみられます。蟇股の丸にはね十字は岡部家の家紋です。昭和33年県指定文化財になり、39年従来の茅ぶき屋根を銅板ぶきに変更し、門扉は失われていたのを寺に保存されていた断片で、復元したものです。

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